パワーウインドウスイッチカバーの塗装
スズキ ワゴンRのパワーウインドウカバーの補修
もともとシルバー塗装されていましたが、経年劣化により表面塗装にぶつぶつ(ブリスター)が発生していまし
た。
良く観察してみると、ぶつぶつ部分だけではなく、平滑な塗膜も爪で簡単に剥がれる状態でした。
おそらく、プラスチック素材(ABS樹脂)可塑剤がしみだしてきて、塗膜を押し上げたか、密着不良を起こし
たと思われます。
対策としては、剥がれた部分をサンドペーパーで不陸を調整して塗装をしようと思いましたが、健全な塗膜を爪
ではがしてみたところ、密着が不完全なところがあったので、全面をエアーサンダーで研磨してほとんど旧塗膜
を取り除きました。(エアーサンダーの入らないところは、240番、400番、600番のペーパーで研磨)
ABS樹脂は、溶剤性が悪いので(溶剤に溶けやすい)、プライマー水溶性のものを使用しようかと思いました
が、適当なものが見つかりませんでした。結局、溶剤系プライマーが手元にあったので、それで行くことにしま
した。溶剤の中に、トルエン、サクエチ、MIBK等が入っているため、ABS樹脂が溶ける原因になります。
そこで、プライマーは密着の補助をするものであるので、塗膜自体の諸性能は必要ありませんので、なるべく
スプレーガンを離して塗装し、溶剤を揮散させながら塗装し、膜厚をなるべく薄くなるように調節しました。
塗膜が厚くなるとプライマー含有の溶剤でABS樹脂が溶けてしまいますので。
現在気温が30℃オーバーなので、乾燥にはあまり時間が掛りませんが、上塗りに使用する塗料が水溶性のた
め、十分な乾燥が必要になります。
下地の不陸を隠すため、上塗りは半艶のものを選択しました。
1回目は薄く塗り、プライマー層に付着していたゴミ・埃等を取り除くため、塗装後50℃で30分間乾燥させ
てから600番のサンドペーパーで軽く研磨し、水分を十分に飛ばしてから、2回目を塗装しました。
本来なら、当社のシリコーン樹脂を上塗に使用した方がいいのですが、ABS樹脂が柔らかいためシリコーン
樹脂の柔軟性では、クラックが起こると思いましたので、他社の塗料を使用しました。
柔軟性を重視しましたので、耐スクラッチ性に欠けますので、爪で表面に傷がつきやすいと思います。
今後の課題として、下地処理の簡素化・上塗りの耐スクラッチ性のアップ・防汚性のアップが考えられます。
あくまで、趣味性の範囲を脱していませんので、コスト的なものは考えておりません。
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