室温硬化型(RTV)シリコーンゴム(二液型)概論
②2液型RTVシリコーンゴム
2液型RTVシリコーンゴムは、液体あるいはペースト状の主剤と硬化剤(触媒・キャタリスト・キュアリング
エージェント)とからなり、使用前に一定の割合で混合し、必要に応じて脱泡して用います。ポッティングあ
るいはキャスティングなどをしてから、室温や加熱キュアーすることによってゴム状弾性体が得られます。
2液型の硬化は、いわゆる深部硬化型で、硬化反応が全域で進行し、これが1液型との大きな差であり、メ
リットになっています。硬化速度は触媒の種類と量、温度や湿度等によって比較的容易にコントロールされま
す。硬化時に発熱がなく、この点で他材料に悪い影響を与えません。一般的に2液型RTVシリコーンゴムは、
他材料に密着しにくいといわれてきましたが、2液型RTVシリコーンゴムに優れた密着性を持たせたものが、
開発されています。
a)基本組成
2液型RTVシリコーンゴムの基本組成は次の通りです。
ⅰ)ベースポリマー(一般的には末端に官能基を持ったジオルガノシロキサン)
ⅱ)架橋剤(ベースオイル同志をつなぎ、架橋させて三次元ゴム弾性体化するための3官能以上のシランまた
はシロキサン)
ⅲ)ベースポリマーと架橋剤を反応させるための硬化触媒。
ⅳ)充填剤(補強用、増量用)
ⅴ)その他の添加剤(顔料、防錆剤)
2液型RTVシリコーンゴムは、これらの成分を基本的に次のように分けています。
2液型RTVシリコーンゴムの必須成分の組み合わせ
Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ | |
主 剤 | ベースポリマー 架 橋 剤 | ベースポリマー | ベースポリマー 硬 化 触 媒 |
硬 化 剤 | 硬 化 触 媒 | 架 橋 剤 硬 化 触 媒 | 架 橋 剤 |
反 応 型 | 縮合型の大部分 | 縮合型の一部 | 付 加 型 |
b)硬化機構
2液型RTVシリコーンゴムの硬化機構は大別して、縮合反応型と付加反応型があります。
ⅰ)脱アルコール縮合反応
2液の混合によって、縮合反応が起こり、副生物としてアルコールが出ます。
アルコキシ基が存在したところが架橋点となって、網目構造が形成されゴム弾性体になります。
ⅱ)付加反応
付加型反応では副生物が発生しないのが特徴です。
この反応は、貴金属系触媒で進みますが、触媒毒(これらの触媒を触媒作用のない不活性化合物にする物
質;硫黄、リン、窒素、錫等)が存在すると硬化が阻害されます。
縮 合 反 応 型 | 付 加 反 応 型 | |
硬 化 速 度 | 触媒添加量で調節。温度依存は小さい | 温度依存は大きい。加熱促進可能。 |
硬 化 時 の 副 生 物 | 水、アルコール、水素の発生あり。 | なし。 |
触媒毒による硬化阻害 | ほとんどなし。 | 硫黄・リン・窒素・錫等を含有物質に注意。 |
金 属 の 腐 食 | あり。防止策が講じられている。 | ほとんどなし。 |
線 収 縮 率 | 0.1~0.8% | 0.1%以下(室温硬化) 1.0%(加熱硬化) |
自 己 消 炎 性 | なし | 良好 |