室温硬化型(RTV)シリコーンゴム(一液型)硬化機構
①1液型RTVシリコーンゴム
必要な成分をすべてチューブ・カートリッジのような1つの容器に充填して製品化されたものです。使用する
ときに容器から押し出し、空気中にさらすことによって空気中の湿気で硬化反応が起こり、ゴム弾性体となり
ます。
ⅰ)基本組成
a)反応性ポリシロキサン
R R;通常はメチル基。フェニル基、フロロアルキル基等
|
OH-(Si-O)nーH
|
R
b)充填剤
シリカ、炭酸カルシウム等
c)架橋剤
加水分解可能な基(アセトキシ基、アルコキシ基、ケトキシム基等)を有する多官能シラン化合物
d)硬化触媒
スズ化合物、チタン化合物等
e)その他
顔料、耐熱剤、防カビ剤等
ⅱ)硬化機構
1液型RTVシリコーンゴムの硬化機構のほとんどは縮合反応であり、架橋剤の種類によって次のように分類
されます。
a)脱アルコール型
合成反応の工程では、反応性ポリシロキサン(両側に水酸基を持つもの)を架橋剤(メチルトリメトキシ
シラン)が水分のない状態で反応し、末端に数個のアルコキシ基を持つポリマーが形成されます。
市販されている脱アルコール1液型RTV製品はこの状態でチューブ・カートリッジ等に入っています。
使用にあたって、チューブ・カートリッジから押し出されて、空気に触れると同時に硬化反応が始まりま
す。すなわち、吸気中の水分がアルコキシ基と加水分解反応をおこし、アルコキシ基の存在した部分が架
橋点となり、次第に網目構造が形成されてゴム弾性体になっていきます。このタイプは硬化時にアルコー
ルが副生しますが、刺激性が小さく、非腐食性ですので、電子・電気用途には最も適しています。
b)脱オキシム型
脱オキシム型も脱アルコール型と同様に、合成反応によってアルキルケトオキシム基を数個持つポリマー
が作られ、チューブ・カートリッジに入れられています。使用にあたっては、チューブ・カートリッジか
ら押し出されると、空気中の水分と反応します。架橋剤の反応として、アルキルケトオキシム基を利用し
ていますので、硬化時にオキシムが発生します。副生するオキシムは刺激性が弱いので電子・電気用途に
使用されていますが、銅化合物と錯体を生成しますので、変色や腐食に注意が必要です。
c)脱酢酸型
脱酢酸型も合成反応によってアセトキシ基を数個持つポリマーが作られ、チューブ・カートリッジに入れ
られます。チューブ・カートリッジから押し出されると、空気中の水分と反応して硬化が進みます。
架橋剤の反応基としてアセトキシ基を利用していますので、硬化時に酢酸が発生します。副生する酢酸は
刺激性が強く、腐食性がありますので、使用の場合には注意が必要です。
d)その他
脱アミノ型、脱アミン型、脱アセトン型などがあり、それぞれ硬化時には、アミド、アミン、アセトンを
発生します。
上記のチューブ・カートリッジに入ったものは、主にシリコーンシーラント・接着剤に用いられています。
反応型はいろいろありますが、基本的に縮合型で、湿気硬化反応になります。